住宅ローンを払えなくなったときに出てくる、
「代位弁済」
という言葉。
「保証会社が代わりに払ってくれるなら、借金はなくなるの?」
「銀行への住宅ローンは終わるってこと?」
「保証料を払っているんだから、保証会社が負担してくれるのでは?」
と思う人もいるでしょう。
しかし、ここには大きな誤解があります。
代位弁済されても、基本的に借金そのものがなくなるわけではありません。
保証会社が銀行へ返済したあと、
今度は保証会社に対して返済する関係に変わる
のが基本的な仕組みです。りそな銀行の保証委託契約規定でも、保証会社が借主に代わって銀行へ返済した場合、借主はその後、保証会社へ債務を返済することになると定められています。
この記事では、
- 代位弁済とは何か
- 保証会社は誰のために保証しているのか
- 代位弁済されたら借金は消えるのか
- 銀行と保証会社の関係はどう変わるのか
- 家はどうなるのか
- 連帯保証人には影響するのか
- 代位弁済後に払えない場合はどうなるのか
まで、家族の借金に例えてわかりやすく解説します。
※実際の対応や請求内容は、住宅ローン契約・保証委託契約・金融機関などによって異なります。実際に代位弁済の通知や一括請求を受けている場合は、契約先への確認が必要です。
- まず結論|代位弁済されても借金がチャラになるわけではない
- そもそも代位弁済とは何?
- 家族に例えると代位弁済はどういうこと?
- 住宅ローンの保証会社は誰を守っているの?
- 代位弁済までには何が起きる?
- 代位弁済されると銀行との住宅ローンはどうなる?
- 代位弁済後はいくら請求される?
- 保証料を払ったのになぜ返さなきゃいけないの?
- 代位弁済されたら家はどうなる?
- 家を売れば借金は全部なくなる?
- 代位弁済と連帯保証人はどう関係する?
- 連帯保証人と保証会社は何が違う?
- 代位弁済されたら信用情報はどうなる?
- 代位弁済後に払えない場合はどうなる?
- 「代位弁済します」という連絡が来たら何を見る?
- 昔の高金利住宅ローンではなぜ怖かった?
- 30秒でわかる|代位弁済の仕組み
- まとめ|代位弁済は「借金を払ってもらえる制度」ではない
まず結論|代位弁済されても借金がチャラになるわけではない
一番重要なところから整理します。
代位弁済とは簡単にいうと、
住宅ローンを借りた本人が返済できなくなったとき、保証会社などが本人に代わって銀行へ返済すること
です。
ここだけ聞くと、
「保証会社が全部払ったなら、自分の住宅ローンは終わった」
と思いますよね。
しかし実際には、
銀行に対する借金が、保証会社に対する返済義務へ移る
と考えた方が分かりやすいです。
銀行
「保証会社から返してもらいました」
↓
保証会社
「あなたの代わりに銀行へ支払いました」
↓
借主
「今度は保証会社へ返済する」
という関係です。
保証会社の支払いは、
借主へのプレゼントではありません。
そもそも代位弁済とは何?
「代位弁済」という言葉を分解すると理解しやすくなります。
「弁済」は借金を返すこと
法律や金融の世界では、
借金などの債務を返すこと
を「弁済」と呼びます。
住宅ローンなら、
毎月銀行へ住宅ローンを返すことも弁済です。
つまり、
弁済=返済
と考えて大きな問題はありません。
「代位」は誰かに代わること
一方、
代位
とは、ある人の立場に代わることを意味します。
したがって代位弁済をかなり簡単に言えば、
「他の人・会社が本人の代わりに返済する」
という意味になります。
住宅ローンでは、保証会社が銀行へ支払うケースがあります。
家族に例えると代位弁済はどういうこと?
銀行・保証会社・借主という3者の関係は少し難しいので、家庭に置き換えてみます。
息子が父から300万円借りたとする
息子が父から、
300万円
借りたとします。
そして叔父が、
「もし息子が返せなくなったら、私が父へ支払います」
と約束していたとしましょう。
しばらくは息子が毎月返済していました。
しかし失業して、返済できなくなりました。
叔父が父に300万円を支払った
そこで叔父が約束どおり、
息子に代わって父へ残金を支払いました。
父からすると、
貸していたお金は回収できました。
では息子の借金は消えたのでしょうか。
そうではありません。
今度は叔父が息子に、
「あなたの代わりに300万円払ったので、そのお金を私に返してください」
と言うことになります。
これが代位弁済のイメージです。
住宅ローンなら、
父
→銀行
叔父
→保証会社
息子
→住宅ローンを借りた本人
と考えると分かりやすいでしょう。
住宅ローンの保証会社は誰を守っているの?
ここが代位弁済を理解する最大のポイントです。
「保証料を払っているから自分を守ってくれる」は少し違う
住宅ローンで保証会社を利用する際、
保証料などの費用を負担する場合があります。
そのため、
「自分がお金を払っているんだから、保証会社は自分を守ってくれる会社」
と思うかもしれません。
しかし住宅ローン保証の中心的な役割は、
借主が返済できなくなった場合に、金融機関が貸したお金を回収できるよう保証すること
です。
実際に、りそな銀行では指定保証会社を利用する住宅ローン商品があり、商品タイプによって保証料や融資手数料の仕組みが設定されています。
保証会社が銀行へ払ったあと借主への請求が残る
保証会社が銀行へ返済したからといって、
保証会社がその損失を最終的に全部かぶる仕組みではありません。
保証会社はその後、
自分が支払った金額を借主へ請求する立場
になります。
りそな銀行の保証委託契約規定にも、保証会社が銀行へ返済した場合、借主は保証会社へ債務を返済することになる旨が明記されています。
つまり、
銀行を守る保証と、借主の借金を免除する保険は別物
と理解した方が分かりやすいです。
代位弁済までには何が起きる?
通常、一度住宅ローンの引き落としに失敗しただけで、すぐに代位弁済されるわけではありません。
まず住宅ローンの延滞が起きる
たとえば、
毎月10万円
返済していた人が、返済日にお金を用意できなかったとします。
最初は、
返済遅延
です。
金融機関から連絡が来たり、返済を求められたりします。
この段階で金融機関へ相談し、状況に応じて対応できるケースもあります。
延滞が続くと状況が厳しくなる
返済できない状態が続くと、
督促
↓
延滞の長期化
↓
契約上の期限の利益を失う
↓
残債務の一括請求
といった段階へ進む可能性があります。
そして保証会社が付いている住宅ローンでは、契約条件に基づいて、
銀行が保証会社へ代位弁済を求める
ことがあります。
りそな銀行の住宅ローン関連書類でも、銀行が保証会社に代位弁済を請求する場合や、代位弁済完了後の返済状況に関する情報の取扱いが定められています。
代位弁済されると銀行との住宅ローンはどうなる?
ここは少し不思議な部分です。
銀行は保証会社からお金を受け取る
保証会社が代位弁済すると、
銀行は保証会社から残った債務について支払いを受ける
ことになります。
銀行側から見ると、
「借主本人から回収できなかったので、保証契約に基づいて保証会社から回収した」
という状態です。
そのため、元の銀行との関係だけを見ると、
保証会社による支払いによって処理が進む
ことになります。
でも借主の返済義務は保証会社へ移る
問題はここです。
銀行への返済がなくなったからといって、
本人の支払い義務までなくなるわけではありません。
今度は保証会社が、
債権を回収する側
になります。
家族の例なら、
父に対する借金はなくなった。
でも叔父に対する借金が残った。
という状態です。
代位弁済後はいくら請求される?
「保証会社が代わりに払ったなら、毎月の住宅ローンだけ引き継げばいいの?」
と思うかもしれません。
しかし、そうとは限りません。
保証会社が支払った金額が基本になる
保証会社は、
銀行へ支払った金額について借主へ返済を求める
ことになります。
たとえば代位弁済時点で、
住宅ローン残高
2000万円
が残っていた場合、
その2000万円を中心とした大きな債務が問題になります。
借主からすると、
「毎月10万円の住宅ローンだった」
という感覚でも、
代位弁済の段階では、
残債務全体の問題
になっている可能性があります。
遅延損害金などが関係することもある
さらに契約によっては、
- 遅延損害金
- 費用
- その他契約上の支払い
が関係する場合があります。
したがって、
代位弁済された金額=最終的に支払う金額が必ずそのまま固定
とも限りません。
実際に請求を受けた場合は、保証委託契約書や請求書の内容を確認する必要があります。
保証料を払ったのになぜ返さなきゃいけないの?
これはかなり自然な疑問です。
「保証料を何十万円も払った」
↓
「返済できなくなった」
↓
「保証会社が銀行へ払った」
↓
「なのに、なぜ自分がまた保証会社へ払うの?」
となりますよね。
保証料は「借金を消してもらう料金」ではない
保証料を、
万一返済できなくなったときに借金を帳消しにしてもらう保険料
だと考えると混乱します。
住宅ローンの保証制度は、
金融機関に対する返済を保証する仕組み
だからです。
借主が返せなければ保証会社が銀行へ支払い、その後は保証会社が借主から回収します。
つまり保証料は、
返済不能になれば借主が得をするためのお金
ではありません。
火災保険や団信とは役割が違う
住宅購入では、
- 保証会社
- 火災保険
- 団体信用生命保険
など、似たように「万一に備える」仕組みがいくつも登場します。
しかし役割は違います。
たとえば団体信用生命保険では、契約条件を満たす死亡・高度障害などが発生した場合、住宅ローン残高の返済に保険が使われる商品があります。
一方、
保証会社の代位弁済は、借主の借金を免除する制度ではありません。
ここを混同しないことが重要です。
代位弁済されたら家はどうなる?
住宅ローンなら、
「家はそのまま住めるの?」
が最大の問題でしょう。
代位弁済されたからといって、その瞬間に家が消えるわけではありません。
しかし非常に厳しい段階に進んでいると考える必要があります。
住宅には抵当権が設定されていることが多い
住宅ローンでは通常、
購入する土地や建物に、
抵当権
が設定されます。
これは、
住宅ローンが返済されなかった場合に、担保となっている不動産から債権回収できるようにする仕組みです。
住宅ローンでは物件の共有者などが物上保証人となるケースもあり、その場合、債務者が返済できないと担保として提供した土地・建物を失う可能性があります。
返済できなければ任意売却や競売が問題になる
代位弁済後も返済できない場合、
家を売却して返済に充てることが問題になるケースがあります。
状況によっては、
任意売却
や、
競売
という言葉が出てくることもあります。
重要なのは、
代位弁済=家が守られた
ではないことです。
むしろ、
住宅ローンの返済問題がかなり進行した段階
と考えた方がいいでしょう。
家を売れば借金は全部なくなる?
これも前の記事とつながる重要なポイントです。
売却額が残債を上回れば完済できる可能性
たとえば、
住宅ローンなどの残債
1500万円
家の売却後に返済へ回せる金額
2000万円
なら、残債を全額返済できる可能性があります。
この場合は住宅ローン問題を解消しやすくなります。
売っても足りなければ借金が残る
一方、
残債
2500万円
家の売却で返済に回せる金額
1700万円
なら、
単純計算で、
800万円不足
します。
家を失ったうえに、
借金だけ残る
可能性があるわけです。
これが住宅ローン問題の厳しいところです。
代位弁済と連帯保証人はどう関係する?
前の記事で説明した、
連帯保証人
が付いている場合もあります。
連帯保証人がいれば返済問題は本人だけでは終わらない
住宅ローンを借りた本人が返済できず、
さらに連帯保証人が付いている場合、
金融機関や保証会社との契約内容によっては、
連帯保証人にも返済責任が及ぶ可能性があります。
連帯保証人は単なる緊急連絡先ではなく、主債務者に近い重い責任を負います。
連帯保証人についてはこちらで詳しく解説しています。
→ 住宅ローンの連帯保証人とは?本人が払えないとどうなる?家族に例えてわかりやすく解説
「保証会社がいるから連帯保証人は絶対安全」でもない
保証会社が付いているローンでも、
契約形態によっては連帯保証人がいる場合があります。
たとえば収入合算などでは、住宅ローン商品によって配偶者などが連帯保証人となることがあります。りそな銀行も、収入合算者が連帯保証人に該当するケースを案内しています。
したがって、
保証会社がいる=家族には絶対請求されない
と一律に判断することはできません。
連帯保証人と保証会社は何が違う?
名前が似ていますが、ここも整理しておきましょう。
連帯保証人は「人」が責任を負う
たとえば夫が主債務者で、妻が連帯保証人なら、
夫が返済できなくなったとき、
妻にも返済を求められる可能性があります。
りそな銀行も連帯保証人について、催告・検索の抗弁権がなく、事実上債務者とほぼ同等の義務を負うと説明しています。
保証会社は銀行へ支払い、その後本人へ請求する
一方の保証会社は、
契約条件に該当すれば銀行へ代位弁済します。
ただし、
それで借主を救済して終わりではありません。
借主に対する返済請求へ移ります。
簡単に整理すると、
連帯保証人
→人が保証する
保証会社
→会社が保証する
代位弁済
→保証会社などが本人に代わって債権者へ支払う
という関係です。
代位弁済されたら信用情報はどうなる?
ここも気になる人が多いでしょう。
ただし、
「代位弁済=必ず○年間ブラック」
のように単純化するのは避けた方が安全です。
信用情報機関への登録内容や期間は、契約や情報の種類によって異なります。
一般に住宅ローンを長期間延滞し、代位弁済まで進んでいる場合には、
今後の新規借入やクレジット契約などに影響する可能性
を考える必要があります。
実際の登録内容について確認したい場合は、利用している金融機関や信用情報機関の公式情報を確認するのが確実です。
代位弁済後に払えない場合はどうなる?
ここが最も深刻な部分です。
代位弁済後、
保証会社から、
「支払ってください」
と言われても、
そもそも住宅ローンを払えなかった人です。
数千万円を一括で払えるケースは多くないでしょう。
保証会社と返済について話すことになる場合がある
実際には、
- 現在の収入
- 家計状況
- 不動産の状況
- 残債務
- 他の借金
などを踏まえて対応を検討することになります。
しかし、
必ず希望どおりの分割返済にしてもらえる
と決まっているわけではありません。
契約や状況次第です。
放置すると問題は解決しない
怖くなって、
郵便物を開けない。
電話に出ない。
請求書を捨てる。
としても、借金が消えるわけではありません。
むしろ、
代位弁済まで進んでいる時点で、かなり早めに状況を把握した方がよい段階
です。
実際に返済不能に直面している場合は、金融機関・保証会社への相談に加え、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談することも検討する必要があります。
「代位弁済します」という連絡が来たら何を見る?
聞き慣れない書類が届いたら、まず内容を確認します。
誰が誰にいくら支払ったのか
最低限確認したいのは、
- どの住宅ローンなのか
- 元の債権者はどこか
- どの保証会社が代位弁済したのか
- 代位弁済額はいくらか
- 現在誰が返済先なのか
です。
まず、
「借金がどこへ移ったのか」
を整理します。
一括請求なのか今後の返済方法はどうなるのか
次に、
- 現在の請求額
- 遅延損害金
- 支払期限
- 一括請求かどうか
- 担保となっている住宅の扱い
を確認します。
分からない言葉がある場合も、
分からないまま署名したり放置したりしない
ことが大切です。
昔の高金利住宅ローンではなぜ怖かった?
この3記事をつなげると、住宅ローン問題の構造が見えてきます。
高金利だと毎月の返済が重くなる
1990年前後には、住宅ローン金利が7%台になる時期が実際にありました。
3100万円を年7.5%、30年間の元利均等返済で単純試算すると、
月々約21万7000円
総返済額約7800万円
になります。
詳しくはこちらで解説しています。
→ 住宅ローン金利7.5%は昔は普通だった?3100万円借りた場合を今と比べて解説
返せなくなると家族や保証会社まで関係する
返済が苦しくなる。
↓
連帯保証人がいれば家族にも問題が広がる可能性。
↓
保証会社が付いていれば代位弁済が行われる場合がある。
↓
それでも借金は消えない。
こう考えると、
「住宅ローンを借りる」
という行為が、単に家の代金を分割払いしているだけではないことが分かります。
30秒でわかる|代位弁済の仕組み
最後に一気に整理します。
あなたが銀行から住宅ローンを借りる
↓
保証会社が保証する
↓
あなたが住宅ローンを返せなくなる
↓
延滞や一括請求などの段階へ進む
↓
保証会社が銀行へ代わりに返済する
↓
銀行は回収する
↓
保証会社があなたへ返済を求める
つまり、
銀行への借金が消えて終了
ではなく、
返済先が保証会社へ変わる
というのが代位弁済の基本的なイメージです。
まとめ|代位弁済は「借金を払ってもらえる制度」ではない
代位弁済とは、
住宅ローンを借りた人が返済できなくなったとき、保証会社などが本人に代わって金融機関へ返済する仕組み
です。
しかし一番重要なのは、
代位弁済=借金がなくなる
ではないことです。
家庭に例えるなら、
あなたが父から借りた300万円を叔父が代わりに返してくれた。
父への借金はなくなった。
しかし今度は、
叔父へ300万円を返す必要がある。
これが代位弁済の基本的な考え方です。
住宅ローンでは、
銀行
↓
代位弁済
↓
保証会社
へと、返済を求める側が変わるイメージです。
また代位弁済まで進んでいる場合、
- 住宅の売却
- 残債務
- 連帯保証人
- 遅延損害金
- 今後の返済
など、複数の問題が関係する可能性があります。
そのため、
「保証会社が払ってくれたから安心」
ではなく、
「ここから誰に、いくら返済する必要があるのか」
を確認することが重要です。
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参考資料
- りそな銀行「保証委託契約規定」
- りそな銀行「住宅ローンの手数料・諸費用」
- りそな銀行「保証人形態について」
- 民法

