「3100万円の家を金利7.5%で購入」
こんな話を聞くと、今の住宅ローンしか知らない人なら、
「金利7.5%って本当?」
「そんな金利で家を買っていた時代があるの?」
と驚くかもしれません。
しかし、昔の日本では住宅ローン金利が7%台になることは実際にありました。
日本銀行の1991年の資料を見ると、住宅ローン金利として固定金利型7.68%、変動金利型7.5%という数字が確認できます。
つまり、
「住宅ローン金利7.5%なんてあり得ない」
という話ではありません。
ただし、
昔は誰もが7.5%で借りていた
という意味でもありません。
この記事では、
- 住宅ローン金利7.5%は本当にあったのか
- 昔はその金利が普通だったのか
- 3100万円を7.5%で借りると返済はいくらになるのか
- なぜそんな高金利でも家を買えたのか
- ボーナス払いはなぜ使われていたのか
- 連帯保証人まで付けるローンがあったのはなぜか
を、昔と今の感覚の違いも含めてわかりやすく解説します。
結論|住宅ローン金利7.5%は実際に存在した
まず結論です。
住宅ローン金利7.5%という数字は、
昔の日本では実際に存在しました。
1991年の日本銀行資料には、住宅ローン金利として固定金利型7.68%、変動金利型7.5%という記録があります。
また国土交通省が公開している住宅ローン金利の長期データでも、1990年には8%台、1991年には6%台という高い水準が確認できます。
現在の感覚で見ると、
「7.5%なんて異常に高い」
と感じますが、当時の住宅ローン市場では現実にあり得た金利でした。
昔の住宅ローンはなぜそんなに金利が高かったの?
現在の金利感覚だけで昔を判断すると、
「よくそんな条件で家を買ったな」
と思います。
しかし、当時と現在では経済環境そのものが違いました。
1990年前後は市場金利そのものが高かった
住宅ローンだけが特別に高かったわけではありません。
当時は銀行の貸出金利など、市場全体の金利水準が現在よりかなり高い時代でした。
日本銀行の資料でも、1991年には長期プライムレートが7%台で推移していた時期があります。
つまり、
銀行が住宅ローンだけ暴利を取っていた
という単純な話ではありません。
世の中全体が、
「お金を借りると高い金利を払う時代」
だったのです。
預金金利も今より高かった
金利が高い時代は、借りる側だけでなく預ける側の金利も高くなります。
現在のように、
「預金してもほとんど利息が付かない」
という感覚とは違いました。
つまり当時は、
借りる金利も高いが、お金そのものの金利水準も高い
社会でした。
住宅ローンだけを切り取って、
「昔のローンは異常だった」
と考えると、当時の状況を正確には理解できません。
3100万円を金利7.5%で借りるとどうなる?
ここが一番気になるところでしょう。
では仮に、
3100万円
を
年7.5%
で借りたら、どれくらい返すことになるのでしょうか。
条件によって大きく変わるので、ここでは分かりやすく、
30年間・元利均等返済・ボーナス払いなし
として単純計算します。
月々の返済は約21万7000円
3100万円を年7.5%、30年間の元利均等返済で借りた場合、
月々の返済額は概算で、
約21万7000円
になります。
総返済額は、
約7803万円
です。
つまり3100万円を借りても、
30年間で支払う金額は元金の2倍を大きく超える
計算になります。
※実際の住宅ローンでは返済方式、金利変動、手数料、保証料、ボーナス払いなどによって金額が変わります。ここでは金利の影響を分かりやすくするための単純試算です。
なぜ3100万円が7800万円になるの?
理由は、
利息を30年間払い続けるから
です。
住宅ローンでは、
「3100万円借りたから3100万円返せば終わり」
ではありません。
借りている期間中は、残っている元金に対して利息がかかります。
金利が低ければ利息は小さくなります。
しかし7.5%のように金利が高くなると、
利息だけでも非常に大きな金額
になります。
これが住宅ローンにおいて、
「借入額だけでなく金利を見る必要がある」
最大の理由です。
金利が違うだけで返済額はどれくらい変わる?
同じ3100万円を借りても、金利によって返済額は大きく変わります。
7.5%では利息の存在感が非常に大きい
たとえば先ほどの条件なら、
3100万円
30年間
年7.5%
で、
月々約21万7000円。
総返済額は約7800万円です。
元金は3100万円ですから、
利息負担が非常に大きい
ことが分かります。
低金利なら同じ3100万円でもまったく違う
仮に同じ3100万円でも、金利が大幅に低ければ月々の返済も総返済額も大きく下がります。
住宅価格だけを見て、
「昔は家が安かった」
「今は家が高い」
と単純比較できない理由のひとつがここにあります。
昔は住宅価格だけでなく、
住宅ローン金利という大きな負担
もありました。
「毎月25万円+ボーナス払い」はあり得る?
昔の住宅ローンの話では、
「毎月の返済に加えてボーナス払いもあった」
というケースも珍しくありません。
ボーナス払いとは?
ボーナス払いとは、
通常の毎月返済とは別に、
夏・冬などのボーナス月に多めの返済を行う方法
です。
たとえば、
毎月20万円
に加えて、
夏40万円
冬40万円
なら、
年間80万円をボーナス月に追加返済します。
これにより、毎月返済額だけを見ると負担を抑えることができます。
年間で見ると負担はかなり大きい
仮に、
毎月25万円
さらに、
年間80万円のボーナス払い
だったとします。
年間返済額は、
25万円×12か月=300万円
そこへボーナス80万円を加えて、
年間380万円
です。
これは非常に大きな住宅ローン負担です。
月額だけを見てはいけない理由がここにあります。
どうしてそんなローンを組めたの?
現在の感覚では、
「そんな返済額、怖すぎる」
と思いますよね。
しかし当時の人が全員無計画だったわけではありません。
給料が上がるという期待が強かった
高度成長期からバブル期にかけては、
年齢とともに給料が上がる
という期待が現在より強い社会でした。
住宅ローンを組んだ時点では返済が重くても、
「10年後には給料も増えているだろう」
と考えることができたわけです。
家庭の家計に例えるなら、
今は年収500万円でも、
「将来700万円、800万円になっていくだろう」
という前提で長期ローンを組むようなものです。
ボーナスが安定して出るという前提もあった
さらに、
毎年一定額のボーナスが出る
ことを前提に住宅ローンを組むケースもありました。
そのため、
通常月は毎月返済。
夏と冬にはボーナス返済。
という返済設計が使われました。
しかし、会社の業績悪化などでボーナスが減れば、
一気に返済計画が苦しくなる
という弱点があります。
家の値段が上がるという感覚も今とは違った
住宅ローンを考えるうえでは、当時の不動産に対する考え方も重要です。
「土地は値上がりする」という期待があった
バブル期には、
土地価格は今後も上がる
という考え方が広く存在しました。
そのため、
高い金利を払ってでも住宅を取得する意味がある
と考える人もいました。
家を買った後に不動産価格が上昇すれば、
「高い金利を払っても資産として残る」
という考え方もできます。
バブル崩壊で前提が崩れた
ところが、バブル崩壊後は状況が変わります。
不動産価格が下落する一方で、
住宅ローンだけは残ります。
つまり、
3000万円以上借りて買った家が値下がりしても、
ローン残高は自動的には減りません。
これによって住宅ローン返済が重くなる家庭も出てきました。
国土交通省の資料でも、1990年代初めの金利上昇後、海外では住宅ローン延滞や差し押さえが問題になった事例が紹介されています。
「昔は7.5%が普通だった」と言い切っていい?
ここは少し注意が必要です。
7%台が存在したのは事実
1991年には住宅ローンで7%台の金利が実際に確認できます。
したがって、
「昔は住宅ローン金利7.5%なんて存在しなかった」
は間違いです。
いつでも誰でも7.5%だったわけではない
一方で、
「昔の住宅ローンは全部7.5%だった」
と考えるのも違います。
住宅ローン金利は、
- 借りた時期
- 金融機関
- 固定金利か変動金利か
- 住宅金融公庫などの利用
- 返済期間
- 優遇条件
などによって異なります。
金利は時代によって上下しています。
そのため正確には、
「1990年前後には住宅ローン金利が7%台になる時期が実際にあった」
と表現するのが適切でしょう。
今の感覚で昔の住宅ローンを見ると驚く理由
現在と昔では、住宅ローンに対する感覚がかなり違います。
今は「1%違うだけでも大きい」という感覚
住宅ローンは数千万円を20年、30年、35年という長期間借ります。
そのため、
わずかな金利差でも総返済額に大きな差が出ます。
現在の低金利時代を長く経験している人からすると、
7.5%という数字は、
「クレジットカードの分割払いに近いのでは?」
と思うほど高く感じるかもしれません。
しかし当時は住宅ローンだけでなく、市場金利全体が高かったため、数字に対する感覚自体が違いました。
住宅価格だけでは昔と今を比べられない
「昔は3000万円で家が買えた」
と聞くと、
「昔の人は家を買いやすかった」
と思うかもしれません。
しかし、本当に住宅購入の負担を比較するなら、
住宅価格だけを見るのは不十分
です。
見る必要があるのは、
- 住宅価格
- 住宅ローン金利
- 所得
- ボーナス
- 頭金
- 返済期間
です。
3000万円の住宅でも、
金利1%で借りるのと、
金利7.5%で借りるのでは、
同じ買い物とは言えないほど返済負担が変わります。
昔は住宅ローンに連帯保証人を付けることもあった?
昔の住宅ローンの話では、
「連帯保証人」
という言葉もよく出てきます。
連帯保証人は「名前を貸すだけ」ではない
連帯保証人は、
「本人が返済できなくなったら少し助ける人」
程度の軽いものではありません。
非常に重い責任を負います。
住宅ローンを借りた本人が返済できなくなれば、
連帯保証人にも返済を求められる可能性があります。
だからこそ、
「家族だから」
「親だから」
という理由だけで簡単になっていいものではありません。
現在は保証会社を利用する住宅ローンも多い
現在の住宅ローンでは、保証会社を利用する仕組みも広く使われています。
その場合、返済ができなくなると保証会社が金融機関へ代位弁済を行うことがあります。
ただし、
保証会社が払ったから住宅ローンが消える
わけではありません。
この仕組みについては別の記事で詳しく解説します。
もし住宅ローンを払えなくなったら何が起きる?
高い金利で住宅ローンを組んだ人にとって、本当に怖いのは返済が止まったときです。
返済できないからすぐ家を取られるわけではない
一度返済が遅れた瞬間に、
「はい、明日から家を出てください」
となるわけではありません。
一般的には、
返済遅延
↓
金融機関から連絡・督促
↓
一定期間返済できない
↓
期限の利益を失う
↓
保証会社による代位弁済など
↓
残った債務の請求
↓
場合によっては競売など
という流れが考えられます。
実際の対応は契約内容や金融機関によって異なります。
保証会社が払っても借金がなくなるわけではない
特に誤解されやすいのが、
代位弁済
です。
保証会社が金融機関へ住宅ローン残高を支払うことがあります。
すると借りた人から見れば、
「銀行への借金が払われた」
ように見えます。
しかし借金が消滅したわけではありません。
今度は、
保証会社から返済を求められる
ことになります。
代位弁済についてはこちらの記事で詳しく解説します。
→ ※「代位弁済とは?」記事公開後に内部リンクを追加
30秒で分かる|金利7.5%の住宅ローン
ここまでを簡単に整理します。
1990年前後の日本
↓
市場全体の金利が高かった
↓
住宅ローン金利も7%台になる時期があった
↓
3100万円を7.5%・30年で借りると
↓
月返済は単純試算で約21万7000円
↓
総返済額は約7800万円
↓
さらにボーナス返済を組むケースもあった
↓
返済できなければ連帯保証や保証会社が関係することもある
という流れです。
現在の金利感覚から見ると驚く数字ですが、
当時として実際に存在した住宅ローン環境
だったことが分かります。
まとめ|昔の住宅ローン7.5%は「あり得ない数字」ではなかった
住宅ローン金利7.5%という数字を見ると、
現在では、
「そんなローン誰が借りるの?」
と思うかもしれません。
しかし1991年の日本銀行資料には、固定金利型7.68%、変動金利型7.5%という住宅ローン金利が実際に記録されています。
つまり、
7.5%の住宅ローンは実在しました。
ただし、
昔の住宅ローンはいつでも誰でも7.5%だった
という意味ではありません。
金利は時期やローン商品によって異なります。
また昔と今では、
- 金利水準
- 給料の上昇期待
- ボーナスへの考え方
- 不動産価格への期待
など、住宅購入を取り巻く環境そのものが違いました。
そして金利7.5%の怖さを最も分かりやすく示すのが、
総返済額
です。
3100万円を年7.5%、30年間で単純試算すると、
月々約21万7000円。
総返済額は約7800万円になります。
住宅を買うときには、
「家はいくらか」
だけではなく、
「最終的にいくら返すのか」
を見ることが重要です。
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参考資料
- 日本銀行「経済統計月報」等の住宅ローン金利資料
- 日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」
- 国土交通省「住宅ローン金利の推移」
- 住宅金融支援機構「住宅ローンの金利推移」

