「停電になっても、自宅のWi-Fiだけは使いたい」
「モバイルバッテリーをルーターにつなげば、ネットは使えるの?」
「UPSという機械を買えば、停電中でもインターネットが使えるらしいけど、本当?」
停電への備えを考えたとき、こんな疑問を持つ人もいるでしょう。
今ではインターネットは、家族との連絡、仕事、ニュースの確認、ネット銀行など、生活のさまざまな場面に欠かせません。
結論からいうと、停電してもONUやルーターに適切な電力を供給できれば、自宅のWi-Fiと光回線による通信を継続できる場合があります。
ただし、UPSやポータブル電源を購入すれば、必ずネットが使えるというわけではありません。
自宅の通信機器だけでなく、通信事業者側の設備も正常に動いている必要があるからです。
この記事では、停電時にWi-Fiを使う仕組み、ONU・ルーターに必要な電力の調べ方、UPSとポータブル電源の違い、購入前に確認したいポイントを、初心者向けに解説します。
停電でもWi-Fiを使うために必要なこと
停電中のインターネットを考えるときは、「Wi-Fiの電波を出せるか」と「インターネットにつながるか」を分けて考えることが重要です。
ONUとルーターの両方を動かす必要がある
一般的な光回線の家庭では、次のような順番でインターネットを利用しています。
光回線 → ONU → ルーター → スマホ・パソコン
ONUは光回線の信号を変換する機器です。
ルーターはスマホやパソコンなどをネットワークにつなぐ役割を持っています。
この2台が別々に設置されている場合、停電中も光回線を使うには、基本的に両方へ給電する必要があります。
ONUだけ動いていても、Wi-Fiルーターが停止すれば無線接続を利用できません。
反対に、Wi-Fiルーターだけ動いていても、ONUが停止していれば光回線によるインターネット接続ができません。
ただし、ONUとルーターの機能が一体になったホームゲートウェイなどを利用している家庭もあります。
まずは、自宅に何台の機器があるかを確認しましょう。
自宅の機器が動いてもネットにつながるとは限らない
ここは非常に重要な点です。
例えば、停電中に自宅のONUとルーターだけを動かせたとしても、通信事業者側の設備が停止していたらインターネットを利用できない場合があります。
身近なたとえでいうと、自宅の車に燃料が十分あっても、道路が通行止めなら目的地へ行けないのと同じです。
NTT東日本も、家庭内に停電がなくても、通信設備側の停電によってサービスを利用できなくなる場合があると案内しています。
つまり、予備電源は自宅の通信機器を動かすためのもの。通信回線全体の障害まで防ぐものではありません。
Wi-Fiと光回線の違いを詳しく知りたい方は、停電するとWi-Fiは使えない?ルーター・ONU・スマホ回線の違いと対策をご覧ください。
停電中にWi-Fiを使う方法には何がある?
停電対策に使われる電源には、UPS、ポータブル電源、モバイルバッテリーなどがあります。
ただし、それぞれ得意な用途が異なります。
UPSを使う方法
UPSとは、無停電電源装置のことです。
停電などで通常の電源が使えなくなった際に、内蔵バッテリーなどから接続機器へ電気を供給する装置です。
例えば、コンセントと通信機器の間に対応するUPSを設置しておけば、停電時に一時的に電力を供給できる場合があります。
UPSの特徴は、停電時に自動でバックアップ電源へ切り替えられることです。
ただし、給電方式や切替時間、出力波形は製品によって異なります。
また、UPSの多くは短時間の電源確保や安全な停止を目的としており、長時間利用できるとは限りません。
ポータブル電源を使う方法
ポータブル電源は、比較的大きな蓄電池を内蔵し、家庭用コンセントと同様のAC出力などを備えた製品です。
ONUやルーターだけでなく、照明やスマホの充電などにも使用できる製品があります。
ただし、製品によって出力・容量・使える機器が異なります。
また、停電した瞬間に自動で電源を切り替える機能がない製品もあります。
その場合は、停電後に手動で通信機器をつなぎ直す必要があります。
長く電気を使えることと、停電しても機器が再起動せず動き続けることは別の条件です。
モバイルバッテリーを使う方法
一般的なスマートフォン向けモバイルバッテリーは、USB出力で電気を供給します。
一方、ONUやWi-Fiルーターには、専用のACアダプターなどを使う機器が多くあります。
そのため、USB出力のモバイルバッテリーをそのままルーターへ接続できるとは限りません。
機器によっては対応するUSB給電方式や専用のバックアップ電源を利用できる場合もありますが、電圧・電流・端子・極性・給電方式などの確認が必要です。
適合しない変換ケーブルなどを自己判断で使うと、故障や事故につながるおそれがあります。
UPS・ポータブル電源・モバイルバッテリーの違い
何を買えばよいのか迷ったら、まず用途で比較しましょう。
| 比較項目 | UPS | ポータブル電源 | モバイルバッテリー |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 停電時の継続給電・安全停止 | 比較的長時間の電源確保 | スマホなどの充電 |
| 停電時の自動切替 | 対応する製品が基本 | 対応製品のみ | 製品・接続方式による |
| 家庭用AC出力 | 多くの製品で対応 | 対応製品あり | 一般的には非対応 |
| 長時間利用 | 機種・負荷による | 容量により対応しやすい | 容量・出力による |
| ONU・ルーターへの適合 | 出力などの確認が必要 | 出力などの確認が必要 | 特に電源仕様の確認が必要 |
| 購入時の注意 | W・VA・給電時間 | Wh・W・切替機能 | 電圧・端子・給電方式 |
「停電しても通信機器を再起動させたくない」なら、対応するUPSが候補になります。
「停電後につなぎ替えてもよいから、何時間か電源を確保したい」なら、ポータブル電源も候補です。
「スマホの連絡手段を優先したい」なら、まずモバイルバッテリーから考える方法もあります。
ONUとルーターの消費電力はどう調べる?
予備電源を選ぶ前に、まず自宅の通信機器がどれくらいの電力を使うのか調べましょう。
ここを確認せずに購入すると、出力が足りなかったり、思っていた時間だけ使えなかったりする可能性があります。
本体やACアダプターの表示を確認する
ONUやルーターの本体、ACアダプター、取扱説明書などに、電源に関する情報が表示されています。
例えば、ACアダプターに次のような表示がある場合です。
出力:12V・2A
これは、12ボルトで最大2アンペアを供給する設計であることを示しています。
単純に掛け算すると、
12V × 2A = 24W
となります。
ただし、24WはACアダプターの定格出力に基づく計算であり、ルーターが常に24Wを消費しているという意味ではありません。
また、ACアダプターには変換時の損失があるため、コンセント側での消費電力とも一致しません。
正確な電力を知りたい場合は、メーカー公表の消費電力を確認するか、適切な電力測定器で実測する方法があります。
ONUとルーターの消費電力を合計する
仮に、次のような家庭を考えてみましょう。
- ONU:8W
- Wi-Fiルーター:12W
この場合、両方を動かすための消費電力は合計20Wです。
ただし、これは計算用の例です。実際の機器の消費電力は機種や使用状況によって異なります。
また、ホームゲートウェイや別のWi-Fiアクセスポイントなどが必要な場合は、それらの消費電力も加えます。
UPSはWとVAの両方を確認する
UPSの製品仕様には、「500VA/300W」などのように、VAとWが併記されている場合があります。
Wは有効電力、VAは皮相電力を表す単位です。
必要な出力を選ぶときは、接続機器の合計負荷が、UPSの対応するW・VAの範囲内に収まっていることを確認します。
VAの数字だけが大きいからといって、必要な電力を供給できるとは限りません。
オムロンもUPSの選定について、接続機器の最大消費電力と必要なバックアップ時間を確認するよう案内しています。
予備電源で何時間Wi-Fiを使える?
予備電源を買うときは、容量だけではなく、使用できる時間が気になるところです。
ここでは、計算の考え方を説明します。
ポータブル電源のWhを確認する
ポータブル電源の容量は、Wh(ワットアワー)で表示されることがあります。
例えば、容量が300Whの製品なら、理論上は300Wの機器を1時間、または30Wの機器を10時間動かせる計算です。
ただし、実際には電力変換の損失や内部消費電力などがあるため、表示容量をすべて接続機器に使えるとは限りません。
使用時間は容量と消費電力から概算する
使用時間の目安は、次の式で考えられます。
使用時間の概算 = バッテリー容量(Wh)× 利用効率 ÷ 消費電力(W)
例えば、容量300Whの電源で、ONUとルーターの合計消費電力が20Wだったとします。
仮に利用効率を80%と置くと、
300Wh × 0.8 ÷ 20W = 12時間
という計算になります。
つまり、この仮定では約12時間です。
ただし、80%は説明のために置いた仮定であり、特定製品の実測値や保証値ではありません。
実際の使用時間は、製品の特性、給電方式、接続する機器、気温、バッテリーの劣化などによって変わります。
UPSの使用時間はメーカーの資料で確認する
UPSは、ポータブル電源と同じように単純な容量計算だけで使用時間を判断できない場合があります。
製品ごとに、接続する負荷とバックアップ時間の関係が異なるためです。
例えば、同じUPSでも接続機器の消費電力が大きいほど、一般的にはバックアップ時間が短くなります。
UPSを選ぶ際は、メーカーが公開しているバックアップ時間の表や選定ツールを利用しましょう。
参考:オムロン|UPSの選び方
UPSを購入する前に確認したいポイント
UPSには価格や容量だけでなく、確認しておきたい仕様がいくつもあります。
特に、停電してもONUとルーターを継続して使いたい人は、次の点が重要です。
停電時の切替時間と給電方式
UPSには、常時商用給電方式、ラインインタラクティブ方式、常時インバータ給電方式など、複数の方式があります。
方式によって、通常運転時の仕組みや停電時の切替特性などが異なります。
一般的な家庭のルーターでも、停電時の切替で一瞬電源が途切れると、再起動する可能性があります。
停電しても通信機器を再起動させたくない場合は、機器との適合性やUPSの切替時間を確認してください。
ただし、切替時間が短いというだけで、すべての機器が必ず無停止で動くとは限りません。
出力波形と接続する機器の相性
UPSやポータブル電源のAC出力には、正弦波などの出力波形の違いがあります。
接続する機器やACアダプターによっては、特定の出力波形が適していない場合があります。
そのため、UPS側の仕様と接続機器の対応条件を確認することが重要です。
判断できない場合は、製品メーカーやサポート窓口へ問い合わせましょう。
バッテリー交換や設置場所
UPSのバッテリーには寿命があります。
長く使用すると容量が低下し、購入当初よりバックアップ時間が短くなる場合があります。
また、UPSによっては定期的なバッテリー交換や点検が必要です。
購入時は本体価格だけでなく、交換バッテリーの費用、保守方法、廃棄・回収方法なども確認しましょう。
設置する際は、製品が指定する温度や湿度、周囲の空間、通気条件を守ってください。
ポータブル電源を選ぶときの注意点
ポータブル電源は、防災用品として検討する人も多い製品です。
ただし、停電中の通信を目的に使う場合は、容量以外にも注意したい点があります。
AC出力の容量と待機電力を確認する
ONUとルーターを動かす場合は、接続する機器の合計消費電力がポータブル電源の定格出力内に収まるか確認します。
また、AC出力を使うときは、ポータブル電源自体が電力を消費する場合があります。
特に消費電力の小さい通信機器を長時間動かす場合、製品自体の内部消費電力が使用時間に影響することがあります。
容量が大きくても、期待した時間だけ使えるとは限りません。
停電時の自動切替機能を確認する
ポータブル電源の中には、停電時のバックアップ電源として使える機能を備えた製品もあります。
ただし、単にACコンセントが付いているだけでは、停電時に自動切替できるとは限りません。
さらに、自動切替機能があっても、切替時間や接続機器との相性によってはルーターが再起動する場合があります。
通信を止めずに使いたいなら、仕様を十分に確認することが必要です。
安全性とメーカーのサポートを確認する
経済産業省は、ポータブル電源の使用について、落下などの強い衝撃、高温環境、異常な発熱や変形などに注意するよう呼びかけています。
また、消費者庁は、製造・販売元が明確で、回収やリサイクルに対応しているかなどを確認するよう案内しています。
価格だけで選ばず、メーカーの連絡先、保証、事故時の対応、リコール情報なども確認しましょう。
停電対策の電源を選ぶときの失敗例
予備電源を購入する前に、よくある勘違いも押さえておきましょう。
ルーターだけに電源をつないでしまう
ONUとルーターが別々の家庭で、ルーターだけに予備電源をつないでも、ONUが停止していれば光回線の通信は使えません。
また、ひかり電話を利用する家庭では、電話に必要な機器の電源も考える必要があります。
まずは、自宅の通信経路にある機器を確認しましょう。
容量の数字だけを見て購入してしまう
「500VA」「500Wh」「500W」は、それぞれ意味が違います。
VAは皮相電力、Whは蓄えられるエネルギー量、Wは電力を表します。
数字が大きい製品ほど長時間使える、と単純には判断できません。
特にUPSの場合は、バックアップ時間の資料を確認する必要があります。
通信事業者側の障害を考えていない
予備電源でONUとルーターが動いていても、通信会社側に障害が起きている場合はネットにつながらない可能性があります。
光回線が使えないときに備えて、スマートフォンのモバイル通信も確認しておくと役立ちます。
ネットが使えなくなったらどうする?Wi-Fi・通信障害・停電の確認順と備えでは、原因を切り分ける方法を詳しく解説しています。
停電時の通信を確保するために今できること
予備電源を買う前にも、できることはあります。
自宅の通信機器を確認する
まず、ONUやルーターがどこにあるのか確認してください。
電源コードをたどり、それぞれの機器が何台あるかを調べます。
そのうえで、機器の型番や消費電力をメモしておきましょう。
購入するUPSやポータブル電源を選びやすくなります。
スマホのモバイル通信を確認する
自宅のWi-Fiを一時的にオフにして、スマホのモバイル通信が使えるか確認しておくのも方法です。
ただし、通信量の消費や契約条件には注意してください。
スマホからパソコンへテザリングできるか、事前に確認することも役立ちます。
停電時に必要な時間を考える
停電してもネットを使いたい時間は、人によって違います。
「ルーターが安全に停止するまでの数分で十分」という人もいれば、「数時間、仕事の連絡を続けたい」という人もいるでしょう。
長時間の通信継続を目指す場合は、必要な電力量や別回線の備えも含めて考える必要があります。
また、スマホの電池を長持ちさせたい場合は、停電中にスマホの電池を減らさない方法も参考になります。
停電時のWi-Fiと予備電源についてよくある質問
Q. UPSがあれば停電中も必ずWi-Fiが使えますか?
いいえ。
UPSで家庭内の通信機器に給電できても、通信事業者側に障害がある場合は、インターネットにつながらない可能性があります。
また、UPSの出力やバックアップ時間にも限りがあります。
Q. ONUとルーターは両方とも予備電源が必要ですか?
別々に設置されている場合は、基本的に両方へ給電する必要があります。
一体型のホームゲートウェイなどであれば、必要な機器構成は異なります。
Q. モバイルバッテリーで家庭用ルーターを動かせますか?
機器の電源仕様とモバイルバッテリーの出力によります。
一般的なUSB出力だけでは対応できない場合があるため、対応する電圧や端子、給電方式などを確認してください。
Q. UPSとポータブル電源はどちらがいいですか?
停電時に自動で給電を切り替え、通信機器の停止を防ぎたいなら、適合するUPSが候補になります。
一方、停電後につなぎ直してもよく、比較的長時間の電源確保を重視するなら、ポータブル電源も選択肢です。
実際には製品ごとの仕様で判断する必要があります。
Q. 300Whのポータブル電源なら何時間使えますか?
接続する機器の消費電力などによって異なります。
例えば、合計20Wの通信機器に対し、利用効率を仮に80%と置くと、300Whの電源では約12時間という計算になります。
ただし、あくまで概算であり、実際の使用時間を保証するものではありません。
Q. UPSを購入したら、すぐに設置して使えますか?
製品によって異なります。
初回使用前の充電や接続方法、設置条件などが定められている場合があります。
取扱説明書に従い、対応する機器を接続してください。
Q. 予備電源がなくても停電中にネットを使えますか?
スマートフォンのモバイル通信が利用できるなら、自宅のWi-Fiが使えなくてもインターネットを利用できる場合があります。
ただし、基地局などが停電や災害で停止した場合は利用できなくなることもあります。
まとめ|停電時のWi-Fiは、必要な機器と電力を調べてから備えよう
停電中にWi-Fiを利用するには、自宅の通信機器が正常に動いている必要があります。
光回線を利用する家庭では、ONUとルーターなどに適切な電力を供給できれば、停電中も通信を継続できる可能性があります。
ただし、通信事業者側の設備が停止している場合は、自宅に予備電源を用意していてもネットにつながらないことがあります。
予備電源を選ぶ際は、次の順番で考えましょう。
- ONU・ルーターなど必要な機器を確認する
- それぞれの消費電力を調べる
- 何時間使いたいか決める
- UPS・ポータブル電源などを比較する
- 出力や適合性、安全性を確認する
大切なのは、いきなり大容量の電源を買うことではありません。自分の家では何を動かす必要があるのかを知ることです。
そして、予備電源はあくまで選択肢の一つ。
スマートフォンのモバイル通信や家族との連絡方法なども含めて考えると、停電への備えをより具体的に進められます。
関連記事|停電・通信障害への備えを詳しく知る
停電時の通信や、災害による停電についてさらに知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
- 停電するとWi-Fiは使えない?ルーター・ONU・スマホ回線の違いと対策
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- 停電中にスマホの電池を減らさない方法|節電設定と充電の備え
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参考資料
- NTT東日本|停電に伴う通信サービスへの影響について
- NTT東日本|ONUの認証ランプがつかない場合の対処法
- オムロン|UPSの選び方
- オムロン|UPS技術解説
- 消費者庁|携帯発電機やポータブル電源の事故に注意
- 経済産業省|災害時の携帯発電機やポータブル電源の事故に注意
※この記事は2026年10月時点の公表情報を参考にした一般的な解説です。機器の仕様、通信契約、停電や災害の状況によって利用できる方法は異なります。
