住宅ローンの返済予定表を見て、
「毎月ちゃんと払っているのに、元金が思ったほど減っていない」
と驚いたことはないでしょうか。
特に返済を始めたばかりのころは、
「毎月10万円近く払っているのに、こんなに利息なの?」
「銀行は最初に利息ばかり取っているの?」
と思うかもしれません。
しかし、住宅ローンの利息が最初ほど多くなるのには理由があります。
簡単にいうと、
利息は基本的に「その時点で残っている借金」に対してかかるから
です。
住宅ローンを借りた直後は元金がほぼ丸ごと残っています。
そのため利息も大きくなります。
返済が進んで元金が減れば、利息も少しずつ減っていきます。
この記事では、
- なぜ住宅ローンは最初ほど利息が多いのか
- 毎月同じ金額を払っているのに元金が減りにくい理由
- 元利均等返済とは何か
- 元金均等返済とは何が違うのか
- 3000万円借りた場合、最初はいくらが利息になるのか
- 繰上返済すると利息が減るのはなぜか
まで、できるだけ簡単に解説します。
※以下の試算は仕組みを理解するための概算です。実際の住宅ローンでは金利方式、返済日、金利変更、手数料などによって結果が異なります。
- まず結論|利息は「残っている借金」に対してかかる
- 「残っている3000万円を借りている料金」と考えると分かりやすい
- 元利均等返済とは?
- 3000万円を借りたら最初はいくらが利息?
- 10年後はどう変わる?
- 20年後はさらに元金の割合が増える
- なぜ「10年払ったのにこんなに残ってるの?」となるの?
- 元金均等返済なら何が違う?
- 元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?
- 金利が高いほど「最初は利息ばかり」に見えやすい
- 繰上返済すると利息が減るのはなぜ?
- だからといって貯金を全部繰上返済していい?
- 変動金利でも同じ仕組み?
- 「利息ばかり払って損している」と考えるべき?
- 住宅ローンの返済予定表はどこを見る?
- 30秒でわかる|なぜ最初ほど利息が多い?
- まとめ|最初ほど利息が多いのは「借金残高が大きいから」
まず結論|利息は「残っている借金」に対してかかる
住宅ローンの最初に利息が多くなる理由は、かなりシンプルです。
借りた直後は元金がほぼ全部残っている
たとえば銀行から、
3000万円
借りたとします。
借りた直後の住宅ローン残高は、ほぼ3000万円です。
利息は、この大きな残高をもとに計算されます。
ところが20年、30年と返済していけば、
3000万円
↓
2000万円
↓
1000万円
と元金が減っていきます。
すると、利息を計算する土台そのものが小さくなります。
つまり、
最初は借金残高が大きいから利息も大きい
後半は借金残高が小さいから利息も小さい
ということです。
銀行が最初だけ特別に高い利息を取っているわけではない
ここは誤解しやすいところです。
「最初の数年は銀行が利息を優先的に取っている」
ように見えますが、基本的にはそういう仕組みではありません。
元利均等返済では毎月の返済額をほぼ一定にしながら、その時点のローン残高に応じた利息を計算します。
住宅金融支援機構も、元利均等返済では毎月の返済額は一定でも、返済が進むにつれて利息が減り、その分元金の返済額が増えていくと説明しています。
「残っている3000万円を借りている料金」と考えると分かりやすい
もう少し身近な例にしてみます。
利息は「お金を借りている料金」のようなもの
住宅ローンの利息を、
お金を借りている間に払う利用料
のようなものだと考えてみましょう。
3000万円をほぼ全部借りている時期なら、
大きな金額を借りている
ので利用料も大きくなります。
一方、住宅ローン残高が500万円まで減れば、
借りている金額そのものが小さくなっています。
だから利息も小さくなります。
借金の「残量」が減るほど利息も減る
水が入った大きなタンクを想像するとさらに分かりやすいです。
最初は、
3000万円分の水が満タン
です。
毎月少しずつ水を抜いていきます。
利息は、その時点でタンクに残っている水の量に応じて発生するイメージです。
最初は満タンなので利息が大きい。
後半は水が少なくなるので利息も小さい。
これが基本的な仕組みです。
元利均等返済とは?
住宅ローンでよく使われる返済方法のひとつが、
元利均等返済
です。
毎月の「元金+利息」をほぼ一定にする方法
元利均等返済とは、
元金返済額と利息を合わせた毎月の返済額を一定にする方法
です。
住宅金融支援機構は、元利均等返済について「毎月の返済額が一定となる返済方法」と説明しています。
たとえば毎月、
9万円
返済するとします。
1回目も9万円。
2回目も9万円。
10年後も、金利が変わらない前提なら基本的に同じ9万円です。
家計としては非常に分かりやすいですよね。
毎月同じでも「中身」は同じではない
ここが重要です。
同じ9万円でも、
元金+利息の割合
は毎月変わります。
最初は、
利息が多い
元金が少ない
↓
返済が進む
↓
利息が減る
元金が増える
という変化をします。
三菱UFJ銀行も、元利均等返済について、返済当初は利息の割合が大きく元金が減るペースが遅いと説明しています。
3000万円を借りたら最初はいくらが利息?
数字で見ると一気に分かりやすくなります。
ここでは例として、
借入額3000万円
年1.5%
35年返済
元利均等返済
金利は35年間変わらない
と仮定します。
毎月の返済額は約9万1900円
この条件で単純試算すると、
毎月の返済額は、
約9万1900円
です。
では、最初の9万1900円が全部元金返済に使われるのでしょうか。
そうではありません。
最初の月は約3万7500円が利息
年1.5%なら、単純化すると月の金利は、
1.5%÷12
です。
3000万円の残高に対して最初の1か月分の利息を計算すると、
約3万7500円
になります。
毎月返済約9万1900円のうち、
利息
約3万7500円
元金
約5万4400円
というイメージです。
つまり9万円以上払っても、
最初の月に減る借金そのものは約5万4000円程度です。
10年後はどう変わる?
同じ条件で返済を続けたとします。
元金が減ると毎月の利息も減っていく
約10年返済すると、住宅ローン残高は当初よりかなり減ります。
同じ試算条件では、10年後の残高は概算で、
約2297万円
です。
その残高に対する1か月分の利息は、
約2万8700円
まで下がります。
毎月の返済額は約9万1900円のままなので、
利息
約2万8700円
元金
約6万3100円
という構成になります。
最初と比べると、
元金を返している割合が大きくなっている
ことが分かります。
20年後はさらに元金の割合が増える
返済が進めば、この傾向はさらに強くなります。
借金残高が小さくなるほど利息も小さくなる
同じ条件で20年返済した時点では、残高は概算で、
約1480万円
です。
1か月分の利息は約、
1万8500円
まで下がります。
毎月返済約9万1900円のうち、
元金返済は約、
7万3400円
になります。
つまり、
最初
→利息の存在感が大きい
後半
→元金返済の存在感が大きい
という形になります。
なぜ「10年払ったのにこんなに残ってるの?」となるの?
住宅ローンでは、ここで驚く人が多いです。
毎月の返済額と元金の減少額は同じではない
たとえば10年間、
約9万円×120回
を払ったとします。
ざっくり1000万円以上支払っています。
すると、
「3000万円から1000万円以上払ったんだから、残り2000万円以下じゃないの?」
と思いたくなります。
しかし毎月の返済額には、
利息
が含まれています。
そのため、
払った金額すべてが元金を減らしているわけではありません。
住宅ローンの序盤ほどこの差を感じやすい
元利均等返済では、最初ほど利息の割合が大きいため、
「こんなに払ったのに元金が減っていない」
という感覚を持ちやすくなります。
しかし返済後半になるほど利息が小さくなり、
同じ返済額でも元金がどんどん減る
ようになります。
元金均等返済なら何が違う?
住宅ローンにはもうひとつ、
元金均等返済
という方法があります。
毎月返す「元金」を一定にする
元金均等返済では、
毎月返す元金を一定にします。
たとえば3000万円を420か月で返すなら、
3000万円÷420
というように、元金部分をほぼ一定にして返していきます。
その元金に、
残高に応じた利息
を追加します。
住宅金融支援機構も、元金均等返済について「毎月の返済額のうち、元金の額が一定となる返済方法」と説明しています。
最初の返済額は高くなりやすい
元金均等返済では、借金残高が最も大きい最初の時期に、
一定の元金
+
大きな利息
を払います。
そのため返済開始直後の支払額が大きくなります。
しかし元金が早く減るため、利息も早く減ります。
結果として、同じ借入額・金利・期間なら、
元利均等返済より総支払利息が少なくなりやすい
という特徴があります。三菱UFJ銀行も両方式の違いを案内しており、元利均等返済では返済当初の元金減少が遅いことを特徴として挙げています。
元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?
ここで、
「じゃあ元金均等返済の方が絶対得じゃない?」
と思いますよね。
しかし、単純には決まりません。
元利均等返済は家計管理しやすい
元利均等返済の大きなメリットは、
毎月の返済額を一定にしやすい
ことです。
住宅ローン以外にも、
- 食費
- 光熱費
- 教育費
- 車
- 保険
- 老後資金
などの支出があります。
毎月の住宅ローン返済額が同じなら、
家計の計画を立てやすい
という利点があります。
元金均等返済は最初の負担が大きい
元金均等返済では、返済開始時の支払額が高くなります。
家を買った直後は、
家具
家電
引っ越し
子育て
などの支出が重なる家庭もあります。
その時期に住宅ローン返済まで大きくなるため、
最初の家計負担に耐えられるか
を考える必要があります。
金利が高いほど「最初は利息ばかり」に見えやすい
住宅ローンの金利が高くなると、この現象はさらに分かりやすくなります。
金利7.5%なら利息の存在感は非常に大きい
以前の記事では、
3100万円
年7.5%
30年
という昔の高金利住宅ローンを試算しました。
この条件では月々の返済額が概算で約21万7000円になります。
詳しくはこちらです。
→ 住宅ローン金利7.5%は昔は普通だった?3100万円借りた場合を今と比べて解説
金利7.5%なら、借入直後の3100万円に対する単純な1か月分の利息だけでも、
約19万円
になります。
つまり返済額約21万7000円の多くが利息になり、
元金はなかなか減りません。
これを見ると、金利が住宅ローン総額にどれほど大きく影響するかが分かります。
繰上返済すると利息が減るのはなぜ?
ここまで分かると、
繰上返済
の仕組みも理解しやすくなります。
繰上返済は元金を直接減らす
通常の毎月返済では、
元金
+
利息
を支払います。
一方、一部繰上返済では、まとまったお金を、
住宅ローンの元金返済へ充てる
ことができます。
たとえば残高2500万円のときに100万円繰上返済すれば、
残高を大きく減らせます。
元金が減れば未来の利息も減る
利息は、
残っている元金
に対して発生します。
その元金を早めに減らせば、
その後支払う予定だった利息も減ります。
三菱UFJ銀行も、一部繰上返済によって元金が減ることで、その元金に対して将来支払う予定だった利息が減少すると説明しています。
だから一般に、
同じ金額を繰上返済するなら、返済初期ほど利息軽減効果が大きくなりやすい
わけです。
だからといって貯金を全部繰上返済していい?
ここは注意が必要です。
利息を減らすことだけが家計の目的ではない
住宅ローン残高を減らしたいからといって、
預金を全部使って繰上返済すると、
急な出費に対応できなくなる可能性があります。
たとえば、
- 病気
- 失業
- 車の故障
- 家の修繕
- 教育費
- 介護
などでは、現金が必要です。
住宅ローン残高は減っていても、
手元のお金がゼロ
では困ります。
住宅ローン控除との関係もある
住宅ローン控除を利用している場合には、繰上返済によって住宅ローン残高が減ることで、控除額にも影響する場合があります。
りそな銀行も繰上返済の注意点として、手元資金が不足するリスクや住宅ローン控除への影響を挙げています。
そのため、
「利息がもったいないからすぐ全部返す」
だけで判断しないことが大切です。
変動金利でも同じ仕組み?
基本的な、
残高が大きいほど利息も大きい
という考え方は変わりません。
ただし変動金利では、
金利そのものが途中で変わる可能性
があります。
金利が上がれば利息の割合が増える可能性がある
たとえば、
毎月返済10万円
だったとしても、
金利が上昇すると、
10万円の内訳が、
以前
元金7万円+利息3万円
↓
金利上昇後
元金5万円+利息5万円
のように変化する場合があります。
商品によって返済額の見直し方法は異なります。
三菱UFJ銀行では、変動金利・元利均等返済の場合に、金利変更後も一定期間返済額を変えない「5年ルール」や返済額上昇を抑える「125%ルール」を案内しています。
つまり、
返済額が同じだから元金も同じペースで減っている
とは限らない点に注意が必要です。
「利息ばかり払って損している」と考えるべき?
住宅ローン返済表を見ると、
「銀行に利息ばっかり払ってる」
と嫌になるかもしれません。
しかし、少し見方を変える必要があります。
長期間お金を借りられる代わりに利息を払っている
住宅ローンを使わずに3000万円の家を買うなら、
3000万円を先に準備しなければなりません。
しかし住宅ローンを利用すれば、
今3000万円を持っていなくても住宅を購入し、数十年かけて返済できます。
その「時間」を買う費用のひとつが利息です。
大事なのは総額を知って借りること
問題なのは、
利息があることそのものではありません。
自分が最終的にいくら払うのかを知らずに借りること
です。
借入額だけを見るのではなく、
- 金利
- 毎月返済額
- 返済期間
- 総返済額
- 金利上昇時の影響
まで確認することが重要です。
住宅ローンの返済予定表はどこを見る?
住宅ローンをすでに借りているなら、
返済予定表を見ると仕組みがよく分かります。
「元金」と「利息」を見る
毎月の返済について、
元金返済額
利息返済額
が分かれて表示されている場合があります。
最初の数年と10年後を比較してみると、
利息が減って、
元金返済が増えている
ことが確認できます。
「残高」も一緒に見る
もうひとつ重要なのが、
住宅ローン残高
です。
利息だけを見るのではなく、
「去年はいくら残っていた?」
「今年はいくら?」
と追っていくと、
元金が減っていることが実感しやすくなります。
30秒でわかる|なぜ最初ほど利息が多い?
最後に一気に整理します。
3000万円を借りる
↓
最初は3000万円近く残っている
↓
大きな残高に対して利息がかかる
↓
毎月の返済額のうち利息が大きい
↓
少しずつ元金が減る
↓
利息を計算する残高も減る
↓
利息が小さくなる
↓
同じ返済額でも元金返済の割合が増える
これが、
住宅ローンで最初ほど利息が多い理由
です。
まとめ|最初ほど利息が多いのは「借金残高が大きいから」
住宅ローンの返済開始直後に利息が多いのは、
銀行が最初だけ特別な料金を取っているからではありません。
基本的には、
利息を計算する住宅ローン残高が最初ほど大きいから
です。
元利均等返済では、
毎月の返済額はほぼ一定でも、
中身は変わります。
返済開始時
→利息が多く、元金が少ない
返済後半
→利息が少なく、元金が多い
という構造です。
そのため、
「10年も払ったのに思ったほど残高が減っていない」
と感じることがあります。
住宅ローンを見るときは、
毎月いくら払うかだけではなく、
そのうち元金はいくらなのか
利息はいくらなのか
残高はいくら残っているのか
まで見ると、仕組みがかなり分かりやすくなります。
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参考資料
- 住宅金融支援機構「元利均等返済と元金均等返済とは?」
- 住宅金融支援機構「ファイナンシャルプランナーが解説 元利均等返済と元金均等返済」
- 三菱UFJ銀行「返済方法の選び方」
- 三菱UFJ銀行「住宅ローンの繰り上げ返済とは?」

