大雨になると、ニュースでよく聞くのが、
「アンダーパスが冠水しています」
という情報です。
アンダーパスとは、鉄道や道路などの下を通るために、周囲より低く掘り下げられた道路です。
普段は普通に車が通っているのに、大雨になると突然、大量の水がたまって通行できなくなることがあります。
すると、
- アンダーパスはなぜ水没しやすい?
- 排水口があるのになぜ水がたまる?
- どのくらいの雨で冠水する?
- 車なら少しくらい水があっても通れる?
- 前の車が通ったなら大丈夫?
と疑問に思う人もいるでしょう。
アンダーパスが冠水しやすい最大の理由は、道路そのものが周囲より低く、雨水が集まりやすい構造になっているためです。
通常は排水設備によって水を外へ出しています。
しかし短時間に大量の雨が降り、流れ込む水の量が排水できる量を上回れば、水位は急速に上昇します。
この記事では、アンダーパスが大雨で水没する仕組み、内水氾濫との関係、排水ポンプがあっても冠水する理由、そして車で進入してはいけない理由まで解説します。
- アンダーパスとは?
- アンダーパスはなぜ大雨で冠水する?
- 排水ポンプがあるのになぜ水没する?
- アンダーパスはなぜ急に水深が増える?
- アンダーパスの入口では浅く見えるのになぜ危険?
- 前の車が通ったなら自分も通れる?
- 車は水深何cmまでなら通れる?
- 冠水したアンダーパスに入ると車はどうなる?
- アンダーパスで車が水没したらドアは開く?
- 緊急脱出ハンマーは車に置いた方がいい?
- 車に備えておきたい緊急脱出用品
- 歩行者なら冠水したアンダーパスを歩ける?
- アンダーパス冠水と内水氾濫はどう関係する?
- どのくらいの雨でアンダーパスは冠水する?
- アンダーパスの冠水情報はどう確認する?
- 大雨のときはアンダーパスを避けるルートを考える
- 車に備えておきたい大雨対策
- アンダーパスの冠水についてよくある質問
- まとめ|アンダーパスは「水が集まる低い場所」だから大雨時は避ける
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アンダーパスとは?
アンダーパスとは、鉄道や道路などと立体交差するため、その下をくぐるように作られた道路です。
例えば、
- 鉄道の下を通る道路
- 高架道路の下を通る道路
- 大きな道路の下を横切る道路
などがあります。
道路がいったん低くなっている
アンダーパスでは、鉄道や別の道路の下を通るため、道路を掘り下げる構造になることがあります。
車は坂を下り、最も低い場所を通過したあと、再び坂を上ります。
つまり構造上、道路の途中に周囲より低い場所ができます。
普段は排水設備で水を外へ出している
低い場所なので、雨が降れば自然に水が集まります。
そこで多くのアンダーパスでは、排水溝やポンプなどを利用して雨水を外へ排出しています。
通常の雨なら、それによって道路を通行できる状態に保つことができます。
アンダーパスはなぜ大雨で冠水する?
アンダーパスを大きな「くぼみ」と考えると仕組みが分かりやすくなります。
周囲に降った雨まで低い場所へ集まる
雨水は基本的に高い場所から低い場所へ流れます。
そのためアンダーパスには、アンダーパスの真上に降った雨だけでなく、周辺道路などから流れてきた雨水も集中することがあります。
短時間に強い雨が降れば、流れ込む水の量も急増します。
流入量が排水量を上回ると水位が上がる
排水設備にも、一度に外へ出せる水量には限界があります。
例えば、
入ってくる水 > 外へ出せる水
という状態になれば、差し引き分の水がアンダーパス内部にたまります。
強い雨が続くほど、その水位は上昇していきます。
排水ポンプがあるのになぜ水没する?
「ポンプがあるなら全部くみ出せばいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、排水設備にも処理能力があります。
想定を超える雨では流入量が急増する
特に局地的な豪雨では、短時間に大量の雨が降ります。
1時間50mm、80mm、100mmといった雨になると、広い範囲から大量の水が一気に低い場所へ流れ込む可能性があります。
排水ポンプが正常に動いていたとしても、流入量が能力を上回れば水はたまります。
排水先の状況も影響する
雨水は最終的に下水道や水路、河川などへ排出されます。
しかし街全体で大雨になっていれば、排水先にも大量の水が集まっています。
河川の水位が高くなるなどして排水しにくくなれば、低い場所の水が抜けにくくなる場合もあります。
こうした仕組みは内水氾濫とも深く関係しています。
▶ 内水氾濫とは?川が決壊していないのに街が水没する理由をわかりやすく解説
アンダーパスはなぜ急に水深が増える?
アンダーパス冠水の怖いところは、短時間で状況が変わる可能性があることです。
水が逃げずに一番低い場所へ集まる
平らな道路なら、雨水は広い範囲へ分散することがあります。
しかしアンダーパスは低い場所が決まっています。
周囲から流れてきた水がその場所へ集中するため、雨の強さが急激に増すと水位も短時間で変化することがあります。
線状降水帯などでは強い雨が続くこともある
線状降水帯では、発達した積乱雲が同じ地域へ次々に流れ込みます。
一度雨が弱くなったと思っても、新しい雨雲によって再び激しく降ることがあります。
排水するより速いペースで水が入り続ければ、冠水が急速に進む可能性があります。
▶ 線状降水帯とは?なぜ同じ場所に大雨が降り続く?発生の仕組みと危険性を解説
アンダーパスの入口では浅く見えるのになぜ危険?
車でアンダーパスへ近づいたとき、入口付近の水が浅く見えることがあります。
これが非常に危険です。
中央へ向かって道路が低くなる
アンダーパスは一般に、入口から中央部へ向かって道路が下がっています。
そのため入口で数cm程度に見えた水でも、先へ進むほど深くなる場合があります。
車内から最も低い地点の水深を正確に確認することはできません。
水面から道路の形が見えない
濁った雨水が道路を覆うと、
- どこから深くなるのか
- 中央部が何cmあるのか
- 段差があるのか
を判断できなくなります。
JAFも、冠水道路は見た目だけでは水深を判断できず、アンダーパスなど周囲より低い場所には進入せず迂回するよう呼びかけています。
前の車が通ったなら自分も通れる?
大雨の道路では、前の車が冠水部分を通過するのを見ることがあります。
しかし、それを安全確認の代わりにすることはできません。
車種によって水への強さが違う
車によって、
- 最低地上高
- 床面の高さ
- エンジン吸気口の位置
- 車体重量
などが違います。
前のSUVが通過できても、自分の乗用車が同じ条件で通れるとは限りません。
数分の間にも水深が変化することがある
さらに猛烈な雨が続いている状況では、前の車が通過したあとも水は流れ込み続けています。
数分後には水位が高くなっている可能性があります。
「前の車が通った=自分も安全」ではありません。
車は水深何cmまでなら通れる?
アンダーパスが冠水すると、多くの人が知りたくなるのが、
「車なら水深何cmまで走れる?」
という点です。
しかし、これを安全な通行基準として考えるのは危険です。
JAFの30cmテストでも「安全」とは言えない
JAFは管理された冠水路で車両走行テストを行っています。
水深30cmを走り切ったケースもあります。
しかし速度などの条件によっては、車内やエンジンルームへの浸水、部品への影響が確認されています。
実際の冠水道路はテストコースではない
実際のアンダーパスでは、
- 水深が一定ではない
- 水位が上昇中かもしれない
- 水が流れている場合がある
- 障害物があるかもしれない
という違いがあります。
したがって、
「○cmなら進む」のではなく「冠水していたら進入しない」
のが基本です。
▶ 車は水深何cmまで走れる?冠水道路が危険な理由と水没したときの脱出方法
冠水したアンダーパスに入ると車はどうなる?
冠水部分へ進入しても、車内へすぐ水が入ってくるとは限りません。
これも判断を遅らせる原因になります。
危険に気づいたときには深い場所まで進んでいることがある
JAFによると、車は床面を超える水深でも、ただちに大量の水が車内へ入るとは限りません。
そのため運転者が、
「これは危ない」
と気づくころには、かなり深い場所まで進んでいることがあります。
エンジンが止まることもある
ガソリン車などでは、吸気口から水を吸い込むとエンジンが停止する可能性があります。
また水深が深くなると車体に浮力が働き、タイヤが十分に路面をとらえられなくなることもあります。
そのまま立ち往生すれば、さらに水位が上昇して車内に閉じ込められる危険があります。
アンダーパスで車が水没したらドアは開く?
水位が高くなると、車外の水がドアへ大きな力をかけます。
車外の水位が高いと水圧で開けにくくなる
車内に水が入っていない状態で外側の水位だけが上がると、内外の水圧差が大きくなります。
その結果、ドアを開けるために非常に大きな力が必要になることがあります。
安全に脱出できる段階なら早く出る
車が動けなくなり、周囲の水位が上がっている場合は、状況が悪化する前の脱出が重要です。
ドアや窓から安全に出られる状態なら、早めに脱出します。
水没が進む前に行動することが基本です。
緊急脱出ハンマーは車に置いた方がいい?
車の窓が開かなくなった場合に備え、緊急脱出用ハンマーを車内に備えておく方法があります。
運転席から手が届く場所に置く
トランクの奥に置いてあっても、水没時には取りに行けません。
備える場合は運転席から手が届く位置に固定しておくことが重要です。
すべてのガラスを割れるわけではない
車種によっては側面にも合わせガラスが使用されています。
一般的な緊急脱出用ハンマーでは割れないガラスもあるため、自分の車の仕様と製品の対応範囲を確認しておきましょう。
車に備えておきたい緊急脱出用品
冠水した道路やアンダーパスには入らないことが大原則です。
しかし、急激な冠水や道路状況の変化によって、車内からすぐに脱出しなければならない状況になる可能性もあります。
水圧によってドアが開けにくくなった場合などに備え、車内から窓を割ったりシートベルトを切ったりできる緊急脱出用品を手の届く場所に置いておく方法があります。
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歩行者なら冠水したアンダーパスを歩ける?
車だけでなく、歩行者にとっても危険です。
水面の下が見えない
冠水していると、
- 側溝
- 段差
- 穴
- マンホール
などが見えなくなります。
普段知っている道路でも、冠水時は同じように歩けるとは限りません。
流れがある場合はさらに危険
周囲から大量の水がアンダーパスへ流れ込んでいる場合、水深だけでなく水の流れもあります。
状況確認のために冠水部分へ近づいたり、無理に歩いて渡ったりしないことが重要です。
アンダーパス冠水と内水氾濫はどう関係する?
アンダーパス冠水は、都市型の内水氾濫を理解する分かりやすい例でもあります。
川が決壊しなくても水没する
内水氾濫は、街に降った雨を下水道や側溝などで排水しきれず、水があふれる現象です。
その水が低い場所へ集中すると、アンダーパスなどが先に冠水する場合があります。
都市部は雨が地中へしみ込みにくい
都市部では道路や建物などアスファルト・コンクリートに覆われた場所が多く、雨水が地中へしみ込みにくくなっています。
気象庁も、都市部では雨水が地表面にたまりやすい特徴を考慮し、表面雨量指数を使って浸水害の危険度を評価しています。
つまりアンダーパス冠水は、単独の道路トラブルではなく、街全体の排水が追いつかなくなる豪雨災害の一部として起こることがあります。
どのくらいの雨でアンダーパスは冠水する?
「1時間○mmになったら冠水する」という全国共通の数字はありません。
道路ごとに条件が違う
冠水しやすさは、
- アンダーパスの深さ
- 周囲から集まる雨水の量
- 排水設備の能力
- 排水先の状況
- 雨の降り方
などによって違います。
そのため30mmで冠水する場所もあれば、それ以上の雨でも排水できる場所もあります。
50mm・100mmという数字だけで判断しない
気象庁では1時間50~80mm未満を「非常に激しい雨」、80mm以上を「猛烈な雨」としています。
しかし冠水するかどうかは、その地域の排水能力などにも左右されます。
雨量だけを見て「まだ大丈夫」と判断しないことが重要です。
▶ 1時間50mm・100mmの雨はどれくらい危険?雨量の目安と起きることをわかりやすく解説
アンダーパスの冠水情報はどう確認する?
大雨時には、普段使っている道路が通れるか事前に確認することが重要です。
道路管理者や自治体の通行情報を確認
道路管理者や自治体などが、冠水・通行止め情報を発信している場合があります。
豪雨時には出発前に最新の道路情報を確認してください。
浸水キキクルで周辺の危険度を見る
気象庁の浸水キキクルでは、短時間強雨による浸水害の危険度を地図上で確認できます。
1km四方ごとに危険度が示され、10分ごとに更新されています。
アンダーパスそのものの通行可否を示す情報ではありませんが、周辺で浸水害の危険度が高まっているかを判断する材料になります。
大雨のときはアンダーパスを避けるルートを考える
大雨の最中にアンダーパスの手前まで行ってから考えるのではなく、可能なら最初から通らないルートを選ぶ方が安全です。
普段の通勤路に低い場所がないか確認
自宅から、
- 職場
- 学校
- 駅
- スーパー
などへ向かう道路にアンダーパスや低い道路がないか、平常時から確認しておくと役立ちます。
豪雨時は「いつもの道」にこだわらない
道路冠水が発生している場合は、遠回りになっても高い場所を通る道路へ迂回する方が安全です。
警察や道路管理者による通行止めがある場合は必ず従ってください。
車に備えておきたい大雨対策
緊急脱出用品
万一の水没に備える場合は、自分の車の窓ガラスに対応する緊急脱出用ハンマーなどを検討できます。
シートベルトカッターを備えたタイプもあります。
ライト・モバイルバッテリー
豪雨や台風では停電や道路規制によって長時間移動できなくなる可能性があります。
ライト、モバイルバッテリー、飲料水などを平常時から車載防災用品として準備しておく方法もあります。
アンダーパスの冠水についてよくある質問
アンダーパスとは何ですか?
鉄道や道路などの下を通るため、周囲より道路を低くした立体交差部分などを指します。
アンダーパスはなぜ大雨で冠水する?
周囲より低いため雨水が集中しやすく、流れ込む水量が排水設備の能力を超えると水がたまるためです。
排水ポンプがあるのになぜ冠水する?
排水ポンプにも処理できる水量に限界があります。
短時間豪雨で流入量が排水量を上回ると、ポンプが動いていても水位が上昇することがあります。
アンダーパスは急に水没することがある?
あります。
低い場所へ周囲の水が集中するため、猛烈な雨では短時間で水位が上がる可能性があります。
入口の水が浅ければ車で入っても大丈夫?
大丈夫とは言えません。
アンダーパスは中央へ向かって低くなっていることがあり、入口から最深部の水深を判断できないためです。
前の車が通れたら自分も通れる?
そうとは限りません。
車種が違ううえ、大雨中には短時間で水位が上昇する可能性があります。
冠水していたらどうすればいい?
進入せず、引き返して安全なルートへ迂回するのが基本です。
まとめ|アンダーパスは「水が集まる低い場所」だから大雨時は避ける
アンダーパスの冠水についてまとめると、
- アンダーパスは周囲より道路が低い
- 周辺から雨水が集まりやすい
- 通常は排水設備で水を外へ出している
- 大雨で流入量が排水量を上回ると冠水する
- 街全体の内水氾濫が関係する場合もある
- 入口より中央部の水深が深いことがある
- 車内から本当の水深を判断することは難しい
- 短時間で水位が上昇する場合がある
- 前の車が通れたことは安全の保証にならない
- 車が浮いたりエンジンが停止したりすることがある
- 冠水している場合は進入せず迂回するのが基本
ということになります。
アンダーパス冠水で特に覚えておきたいのは、
「入口が浅く見えても、一番低い場所の水深は分からない」
ということです。
大雨では周囲から水が集まり続けています。
今見えている水深が数分後も同じとは限りません。
「これくらいなら行けそう」と試すのではなく、冠水しているアンダーパスを見つけたら進入せず、安全なルートへ迂回してください。
関連記事
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